1年の世相を漢字1文字で表す「今年の漢字」が13日午後2時過ぎ、京都市東山区清水寺の舞台で発表される。新型コロナウイルスの感染が拡大した昨年の漢字は「密」だったが、果たして今年は――。

 立派な袈裟(けさ)を身にまとった森清範貫主(81)が、大きな和紙に太い筆で一気に書く様子は、師走の風物詩となっている。ただ、あの字は清水寺のお坊さんたちが会議を開いて決めているわけではない。森貫主も当日まで、どの字を書くか知らないという。

 決めているのは、日本漢字能力検定協会京都市東山区)。日本全国からはがきやインターネットで募った漢字の中から、最も多いものを選んでいる。目的は漢字に関心を持ってもらうこと。1995年に始まり、今年で27年目だ。

 これまで最も多く選ばれたのは「金」の3回。シドニー五輪のあった2000年、ロンドン五輪の12年、そしてリオデジャネイロ五輪の16年とくれば、東京五輪が開催された今年も可能性はあるかもしれない。ただ、日本選手の金メダル獲得という明るい話題だけでなく、政治資金が関わる「政治とカネ」の問題が繰り返されてきたことも背景にあるという。

 次いで多いのが「災」の2回。西日本豪雨北海道胆振東部地震など、大規模な災害が相次いだ18年と、新潟県中越地震が起きた04年に選ばれた。過酷な自然現象が漢字となった年はほかにもある。全国で猛暑を記録した10年は「暑」、阪神・淡路大震災に見舞われた95年は「震」だった。(原田達矢)

この10年の「今年の漢字」と、選定理由となった主な出来事

2020年「密」=新型コロナウイルスが世界的に流行。日々の活動が制約される一方、大切な人との関係が密接になった

 19年「令」=新元号が「令和」に。法令改正による消費増税があった

 18年「災」=各地で大規模な自然災害が多発し、多くの人が被災。防災や減災意識が高まった

 17年「北」=北朝鮮ミサイル発射や九州北部豪雨などにより、平和や安全の尊さを実感した

 16年「金」=リオ五輪で多くの日本選手が金メダル。「政治とカネ」に絡んだ問題が相次いだ

 15年「安」=安全保障関連法案に国民が注目。テロや異常気象、建築偽装などで不安が広がった

 14年「税」=消費税率が17年ぶりに8%に引き上げ。税に関わる話題が政財界で多く取り沙汰された

 13年「輪」=東京五輪の開催決定や富士山世界遺産登録で日本中が輪になって歓喜に沸いた

 12年「金」=京都大の山中伸弥教授のノーベル賞など多くの金字塔。各地で金環日食を観測した

 11年「絆」=東日本大震災などで絆を再確認。サッカー女子「なでしこジャパン」のチームワークも注目された

 
 
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