2024/01/01 18:44
石川県志賀町で震度7を観測した地震ついて、気象庁は1日、「令和6年能登半島地震」と命名した。
毛布を抱えて避難所に向かう被災者(1日午後10時4分、石川県穴水町で)=細野登撮影
地震の影響で停電が発生。避難所で暖を取る被災者(1日午後9時10分、石川県穴水町で)=細野登撮影
地震の強い揺れで倒壊したとみられる家屋(1日午後8時29分、石川県穴水町で)=細野登撮影
強い揺れで傾いたとみられる電柱(1日午後8時22分、石川県穴水町で)=細野登撮影
地震で倒壊したとみられるビル(1日午後7時7分、石川県輪島市河井町で)=福原悠介撮影
避難所に身を寄せる地域住民たち(1日午後7時、魚津市大海寺野で)=吉武幸一郎撮影
激しい炎が上がる現場(1日午後6時41分、石川県輪島市で、読売機から)=小林武仁撮影
激しい炎が上がる現場(1日午後6時39分、石川県輪島市で、読売機から)=小林武仁撮影
地震で道路が隆起し、傾いた車(1日午後6時38分、石川県内灘町で)=平松千里撮影
地震の影響で新幹線のダイヤが乱れたことを伝えるJR東京駅の電光掲示板(1日午後5時58分)=帖地洸平撮影
公民館に開設された避難所に身を寄せる地域住民たち(1日、富山県魚津市大海寺野で)=吉武幸一郎撮影
高台を目指して避難する車の列(1日、富山県魚津市大海寺野で)
記者団の取材に応じる岸田首相(1日午後5時18分、首相官邸で)=川口正峰撮影
コンビニエンスストアの床に、割れた酒瓶の破片が散らばっていた(1日午後5時6分、富山市で)=谷侑弥撮影
金沢駅西口の屋外広場に避難した人たち(1日、金沢市で)=平松千里撮影
地震後に高台に避難し、毛布で暖を取る市民たち(1月1日午後4時48分、石川県輪島市河井町の自衛隊輪島分屯地で)=福原悠介撮影
地震で崩落した道路。車や徒歩で高台に避難する人の姿も見られる(1日午後4時27分、石川県輪島市で)=福原悠介撮影
地震が発生し、津波情報が流れる中、戸外に避難する人たち(1日午後4時25分、富山市で)=木佐貫冬星撮影
地震で建物の倒壊や道路のひび割れが発生した市街地(1日午後4時19分、石川県輪島市で)=福原悠介撮影
地震で道路のタイルが崩れたり、信号機が傾いたりした市街地(1日午後4時16分、石川県輪島市で)=福原悠介撮影
自動車専用道路「のと里山海道」では地震の影響で路面が損傷した=石川県七尾市(提供写真)
石川県の中能登総合土木事務所によると、地震の影響で、「のと里山海道」は道路上で、複数の陥没が相次いで確認されているという。
強い地震で起きたひび割れ=1日午後4時50分ごろ、石川県輪島市
石川県羽咋(はくい)市によると、1日午後4時10分ごろ、石川県で震度7を観測した地震の影響で、市内で複数の家屋が倒壊しているという。また、内灘(うちなだ)町では広範囲にわたって断水が起きているという。
石川・能登島の水族館で200人車中待機 橋が通行止めで
毎日新聞 2024/1/2 01:17(最終更新 1/2 03:28)
震度7を記録した石川県は1日午後11時45分から、第2回災害対策本部会議を開いた。輪島市や珠洲市には自衛隊などの派遣要員はまだ到着できておらず、被害の詳細は分かっていないという。
派遣要員は輪島市から約20キロ南の穴水町までは到達したという。
また、県によると、能登半島中部と能登島をつなぐ橋2本が通行止めとなり、島内にある「のとじま水族館」に来館者ら約200人が車中での待機を余儀なくされているという。
石川県内で4人が心肺停止…灯篭の下敷きになった男性や倒壊家屋から救助された女性
2024/01/02 02:10
能登半島地震の被害状況について、警察庁は1日午後11時現在、石川県七尾市と輪島市、志賀町の2市1町で計4人が心肺停止になっていると発表した。
内訳は七尾市が2人、輪島市が1人、志賀町が1人。七尾市では灯籠の下敷きになった男性と、倒壊した家屋から救助された女性が心肺停止になっており、県警が確認を進めている。
石川・志賀町で民家が倒壊、住人の90代男性が死亡
2024/01/02 02:27
最大震度7の地震が発生した石川県志賀町で1日、民家が倒壊し、中にいた住人の90歳代男性と孫の20歳代女性が下敷きになった。県警によると、男性は心肺停止の状態で見つかり、搬送先の病院で死亡が確認された。女性は足首にけがを負ったが命に別条はないという。
羽咋市でも、倒壊した民家から高齢男性が心肺停止の状態で発見された。
【能登半島地震】目の前に迫る黒い濁流 津波で転覆漁船 本紙記者ルポ
2024/1/2 15:15
「なんだあれっ」。元日の夕方、突き上げる揺れに襲われ、珠洲市役所に向かうと、防波堤を乗り越えた黒い濁流が見る見るうちに目の前に迫ってきた。一夜明け、波がのんだ現場に足を運ぶと、津波の勢いで転覆した漁船が浮かび、波に流された車がショッピングセンターに突っ込んでいた。あちらこちらに泥にまみれた家屋が見られ、自然の猛威に息をのんだ。(珠洲支局・谷屋光陽)
揺れが少し収まってきたころ、市役所の前で「急げっ、早く逃げろ」と男性の叫び声が聞こえた。何だろう? 海の方向を見ると、あっという間に波が寄せてき、市職員に「早く早く」と促され、誘導されるまま庁舎に駆け込んだ。
大津波警報が発令されており、市役所には避難した市民がたくさんいた。3階の危機管理室では、市内の被害状況をつぶさに把握しようと、泉谷満寿裕市長が陣頭指揮を執っていた。
家屋の下敷きになった市民の救助や、避難所の開設、道路の隆起による通行止めなど、新たな情報が入るや、職員に指示を飛ばす。とても取材どころではない。取り急ぎ、市内の被害状況を写真に収めようと、外に出てみた。
幸い、津波に巻き込まれた人はいなかったと聞いた。波が引いてから数時間後、注意を払って街中を進むと、港近くの家屋が泥水に浸かっていた。平穏だった街を真っ黒に染める津波の恐ろしさを実感した。
翌日、被災した住民に話を聞くと、大間玲子さん(65)=同市飯田町=は津波の恐怖と寒さでなかなか寝付けなかったといい、「満足に眠れないで朝を迎え、家の様子を確認したら、泥だらけで車も流されました。先のことを考えられない」とため息をついた。
金沢市に住み、実家の飯田町に帰省していた会社員の小田久志さん(58)は「市役所に避難する途中で津波が見えた。正月休みに実家でゆっくりしていたのに、こんなことになるなんて」と肩を落とした。2日朝、波にのまれて海に沈んだ漁船や横転した車を見た。これ以上、被害が広がらないことを願うばかりだ。
廃止間近の金沢行きサンダーバード 実質“24両”で大阪から臨時運行 すごい輸送力!
特急「サンダーバード」に使用される683系電車(画像:JR西日本)
2024年1月1日(月)に発生した「令和6年能登半島地震」では、北陸地方を中心に鉄道網へも被害が生じています。JR西日本では、氷見線や七尾線で終日の運休が決定しているほか、北陸本線や高山本線などでも大幅な遅れが発生しており、特急列車にも影響が出ています。
そのようななか1月2日(火)、同社は大阪~金沢間などを結ぶ特急「サンダーバード」で臨時列車を運行。95号および97号がそれぞれ新大阪・大阪発 金沢行きとして設定されましたが、ほぼ同時刻の運行となり(京都駅発時点で1分差)、12両編成2本の“実質24両編成”としての輸送力を発揮しました。
95号は新大阪11時16分発、97号は大阪11時12分発。終点へは同時刻の13時56分着予定です。なお実際は、両編成は5分程度の差で金沢駅に到着したとのことでした。途中停車駅は京都、敦賀、武生、鯖江、福井、芦原温泉、加賀温泉、小松。ダイヤは定期87号と同じでした。
ところで「サンダーバード」は、来る3月16日(土)の北陸新幹線の延伸開業に伴い、運行区間が大阪~敦賀間に短縮されます。敦賀駅では新幹線へ接続することになりますが、「サンダーバード」は「北陸行き特急」ではなく「新幹線アクセス特急」という存在に変わります。
【能登半島地震】横揺れ2分「死ぬかと」 津波「早く逃げろ」 余震、停電、断水眠れぬ夜
2024/1/1 05:00
地震発生後、市街地に押し寄せる津波=1日午後4時44分、珠洲市上戸町北方
倒壊した家屋から出られなくなった人を救助する警察官や消防団員=1日午後7時20分、七尾市北藤橋町
小学校に避難し、不安な表情を浮かべる住民=1日午後7時、志賀町
●東日本以来の大津波警報
「ズドーンと大きな音がした」「死ぬかと思った」。元日の石川県内を過去最大級となる2分ほどの横揺れが直撃した。昨年震度6強を観測した珠洲市では、被災の傷が癒えぬ中で再び多くの家屋が倒壊、輪島市、志賀町などでも地面が割れ、住民は2007年の能登半島地震以来の大きな揺れの恐怖に震えた。11年の東日本大震災以降では初の大津波警報が出され、「早く逃げろ」と叫ぶ声が響く中、県内では多くの人が高台などに避難。毛布にくるまりながら身を寄せ合って互いの家族の安否を気遣い、停電、断水も続いて眠れぬ夜を過ごした。
2022年、23年と震度6以上の地震が発生した珠洲市。1日午後4時すぎ、激しい横揺れが続き、電線が大きくたわみ、電柱がゆがんだ。
書類などが散乱した市役所には職員が続々と集まり、被害状況など情報の確認に追われた。泉谷満寿裕市長は「今までで一番大きい揺れだ」と語り、陣頭指揮に当たった。
市役所近くでは、津波が海岸から100メートルほどの地点まで押し寄せた。津波を警戒し、庁舎の3~5階、屋上を市民に開放、避難した人は揺れが来るたび会議室や通路で身をかがめた。能登では同様に各自治体の庁舎に多くの人が避難した。
珠洲市役所に母親と身を寄せた徳田佳代さん(42)=飯田町=は「母は足が悪いが、道路が陥没して車も出せなかった。なんとか歩いてきたが崩れた家をいくつも見た」と声を震わせた。
2007年の能登半島地震で大きな被害を受けた輪島市門前町の總持寺通り商店街では、住宅や商店の損壊が相次いだ。住民の60代男性は「1階がつぶれた家も複数あった。能登半島地震よりもひどい」と肩を落とした。中心部の河井町では輪島塗の五島屋のビルが横倒しになり、火災も発生した。
七尾市ではJR七尾駅前の複合商業施設「パトリア」に近接する住宅が倒壊。住民の男性が崩れた家屋の下敷きになったが、約3時間半後に消防団員らに救出された。
震度7を観測した志賀町では、各地で地割れなどが確認され、町中心部の国道249号では於古川歩道橋が約30センチ隆起した。
町役場に避難した末吉の作業療法士宗行慶泰さん(37)は「2分くらい激しい横揺れが続いた」と振り返った。500人以上が避難した志賀小では、高浜町の中安和子さん(80)が「整理したばかりの神棚がかちゃかちゃになった」と話し、本田百合子さん(74)は「余震で携帯が鳴り止まず不安で仕方ない」と顔をこわばらせた。
【能登半島地震】県内大地震、死者48人 輪島朝市周辺200棟燃える
2024/1/2 15:30
●金沢で震度5強
1日午後4時10分ごろ、石川県全域で激しい地震が発生し、志賀町では震度7を観測した。震源は輪島市の東北東30キロ付近で、マグニチュード(M)7・6と推定される。建物の倒壊や火災が相次ぎ、2日午後3時半現在、県内で少なくとも48人が死亡し、14人が重傷を負ったほか、各地でけが人が出た。輪島市の輪島朝市周辺では大規模な火災があり、約200棟が燃えた。気象庁は能登地方に一時、大津波警報を発表、輪島港では1日に1・2メートル以上の津波を観測した。
内訳は珠洲市が20人、輪島市が19人、七尾市が5人、穴水町が2人、羽咋市、志賀町が各1人。
輪島市中心部の河井町では輪島塗の五島屋のビルが倒壊し、生き埋めが14件発生した。他の自治体でも建物の崩壊が相次ぎ、取り残された人がいるとの情報がある。航空自衛隊輪島分屯基地には住民ら約千人が避難し、自衛隊員が毛布や水、食料を配布した。
羽咋市内で複数の家屋が倒壊し、全域で断水している。能登町で複数の家屋が倒壊した。内灘町は広い範囲で断水が発生した。
震度5強を観測した金沢市の田上新町で土砂崩れで住宅3軒が傾いた。金沢城公園の石垣が一部崩れた。JR西日本によると、金沢駅は構内が水浸しとなり、封鎖された。
北陸新幹線は1日、全線で一時運転を見合わせた。富山-金沢間で4本の列車が止まり、計約1400人が車内に取り残された。富山-金沢間は2日午前中に再開した。長野-金沢間は2日午前まで運転を見合わせ、午後3時ごろの再開を見込む。JRは北陸線、七尾線の全線、IRいしかわ鉄道、のと鉄道、北陸鉄道も1日、列車の運行を見合わせた。
国交省によると、能登空港の滑走路で深さ約10センチ、長さ10メートル以上のひびが4、5カ所見つかり、滑走路が閉鎖された。空港に通じる道路も通行できず、利用客や地域住民ら約500人が孤立状態となった。滑走路は4日まで閉鎖の見通し。
全日空は能登、小松、庄内、新潟の各空港を発着する1日の計16便を欠航。約1450人に影響した。同じ4空港を発着する2日の計8便も欠航が決まった。日航は1日、小松、新潟の両空港発着の計9便を欠航し、影響は約730人に上った。2日も1便が欠航。
北陸電力によると、停止中の志賀原発で1日、変圧器の油漏れが発生し、代替設備に切り替えた。外部への放射能の影響はない。運転中の七尾大田火力発電所は停止した。北陸電力送配電によると、2日午後0時45分現在、県内で約3万2800戸が停電している。
のと里山海道は全線、高速道路は北陸自動車道、能越自動車道、国道249号などが各地で一部区間が通行止めになった。
気象庁は「令和6年能登半島地震」と命名した。能登地方で観測した地震としては記録が残る1885年以降で最大で、震度7の観測は石川県内で初めて、国内では2018年の北海道地震以来、大津波警報が発表されたのは11年3月の東日本大震災以来。建物の高層階を揺らす長周期地震動は石川県能登で最大の階級4を記録した。
能登半島地震、卸各社拠点に物的被害 天井崩落・建屋一部損壊・商品落下など【無料公開】
2024/1/2 21:21
1月1日夕方に発生した石川県能登地方を震源とする最大震度7の地震を受け、医薬品卸の拠点で天井崩落や建屋の一部損壊、商品の落下などの被害が出ている。各社とも営業開始日に向け正月返上で復旧作業を進めている。日刊薬業が卸各社などに取材し、2日夕方時点までの状況を調べた。取材した企業では、現時点では人的被害の報告はないという。
●災害対策本部設置の動きも
メディパルホールディングスによると、子会社メディセオの七尾支店(石川県七尾市)で天井の一部が落下し断線により一部の建屋内で停電となった。商品棚から一部商品の落下もあった。水漏れにより断水状態で、天井を直し建屋を継続して利用できるか現在調査中だ。
新潟県と富山県の拠点も商品棚から一部商品が落下。メディセオは1日夕方に本社に災害対策本部を立ち上げ各拠点のバックアップに回っている。
石川県など北陸地方に多くの拠点を持つバイタルケーエスケー・ホールディングスの持分法適用会社の医薬品卸ファイネス(本社・金沢市)は一部の建屋にひび割れがあり、揺れで商品が棚から落下した。現在復旧作業を進めており、予定している4日の営業開始に間に合わせるべく体制を整えている。
バイタルHDによると、子会社バイタルネットの新潟物流センター(新潟市)でも一部建屋のひび割れや商品の落下があったという。
スズケンは、配送センターや事業所の建屋に大きな被害はなかったが、一部事業所で医薬品の落下や断水が生じた。4日の営業開始に向け医薬品の補充を進めるとともに、断水があった事業所に水や給水用のポリタンクが届くよう手配している。
東邦ホールディングスもグループ会社の北陸東邦(本社・富山市)で断水や扉が閉まらないといった報告はあるものの、大きな被害の情報はない。商品棚の落下防止テープが奏功し、医薬品の落下は一部に留まっているという。
アルフレッサホールディングスは各施設ともに停電は免れ医薬品の温度管理にも問題は出ていない。倉庫内で商品の落下があったが、4日の営業開始に向け復旧作業を進めている。
●日医工「被害状況を確認中」
富山県内に工場、拠点を持つ日医工も日刊薬業の取材に応じ、1日の被災時に会社、工場とも休みで人的被害の報告は現時点でなく、被害状況を確認中だ。本社業務は4日から、工場は9日から稼働するため準備を進めているとした。
●厚労省「現時点では報告なし、引き続き情報収集」
厚生労働省は2日正午、記者団の取材に対し、製薬企業、卸の被災状況について「現時点では医薬品関係の被害状況は報告として上がってきている状況ではない。ただまだ上がってきていない可能性は十分にあり、引き続き情報収集に務めていく」とコメントした。
政府が石川県に非常災害現地対策本部を設置したため厚労省から2日時点で5、6人を現地に派遣する方針も明らかにした。
能登半島地震 石川県の死者は84人に 安否不明79人
毎日新聞 2024/1/4 17:55(最終更新 1/4 19:26)
石川県能登地方を震源とする地震で、県内の死者は84人になったことが明らかになった。石川県が4日夕に開いた災害対策本部会議で公表された。
県によると、4日午後3時時点で市町別の死者数は、輪島市48人▽珠洲市23人▽七尾市5人▽穴水町4人▽能登町2人▽羽咋市1人▽志賀町1人――となっている。
一方、連絡が取れていない安否不明者は79人。輪島と珠洲両市で30人を超えている。被災地では懸命の救助活動が続いている。【朝比奈由佳、菊池真由】
干上がる海岸、駐輪場に犠牲者 風景一変の港町「一言でいうと全滅」
溝脇正2024年1月4日 14時00分
地震以降、干上がった海岸線。黒い藻がついた岩が露出していた=2024年1月3日午後3時7分、石川県珠洲市大谷、溝脇正撮影
全壊家屋の行方不明者の捜索をする自衛隊員=2024年1月3日午後2時5分、石川県珠洲市大谷、溝脇正撮影
能登半島地震で大きな被害を受けた石川県珠洲市大谷地区で3日、車両の通行が可能となり、陸上自衛隊員らが入って倒壊した家屋の下敷きになった行方不明者の捜索が始まった。自衛隊員らは、手作業でつぶれた家の中から家財道具を取りだしたり、瓦屋根をはがしたりする作業を慎重に進めていた。
大谷地区では、多くの家屋が全壊または半壊の状態になっていた。寺院も倒壊し、神社は大きく傾き、鳥居は折れて敷地に散乱していた。住民の森吉康彦さん(72)は「半壊でも、そのままでは住めない。一言でいうと全滅ですよ。高齢者が多く立ち上がれない」と話していた。
住民によると、海岸線の道路まで車が入って来られないため、犠牲者は小学校の自転車置き場に仮安置している。また、地震以降、海岸線が干上がったという。藻がついた岩が広範囲に露出し、漁港にも海水がなかった。「風景が一変してしまった。地震で隆起したのではないか」と話していた。(溝脇正)
能登半島地震の被害状況 立体的に示した地図 東大研究者が公開
2024年1月4日 18時24分
能登半島地震の被災地支援などに役立ててもらおうと、津波や崖崩れなどの被害状況を立体的に示した地図を東京大学の研究者が作成し、ウェブサイトで公開を始めました。
地図は東京大学大学院の渡邉英徳教授が民間企業の協力を得て作成しました。
地震のあとに国土地理院が上空から撮影した能登半島の写真をもとに、石川県輪島市の東部と珠洲市の状況を3Dで示していて、津波による被害や崖崩れなどが確認できるおよそ40か所が掲載されています。
このうち、輪島市を通る県道278号線では、崖崩れによる大量の土砂が広い範囲にわたって道路をふさぎ、周辺にはう回路もないため、行き来が完全に遮断されている状況がうかがえます。
珠洲市と輪島市を結ぶ県道40号線も山あいの地域で複数の崖崩れが起きていて、珠洲市や輪島市東部では少なくとも10か所以上で通行できない状態になっていることがわかります。
さらに、珠洲市の港では地震によって海中の地盤が隆起し、水深が浅くなっているとみられ、渡邉教授は船が入港できない状態になっているのではないかと指摘します。
渡邉教授は「陸だけでなく、海からも支援物資を運べない地域が複数生じている可能性がある。救援が難しい集落の周辺状況を把握し、救援の手だてを考えるうえで役立ててもらえればと思う」と話しています。
輪島市の西部でも、東部と同様に道路の寸断などで孤立状態になっている地域が複数生じている可能性があるということで、今後も最新のデータをもとに情報を更新していくとしています。
志賀町で津波の遡上高4.2mに達したか 「隆起量小さい海岸沿いで津波被害出たと予想」東京大学地震研究所
2024年1月4日(木) 12:07
元日に石川県・能登地方で発生した地震で、震度7を観測した志賀町にある漁港で、津波がおよそ4.2メートル遡上していたことが東京大学地震研究所の現地調査でわかりました。
東京大学地震研究所が能登半島北部で現地調査を行ったところ、志賀町の赤崎漁港では海岸に到達した津波が陸地を這い上がって高さを増し、およそ4.2メートルまで達していたことが推定されるということです。
これは、漁港の倉庫の壁に残された津波の痕跡から推定したもので、この漁港では、このほかにも港の施設などに被害が出ているということです。
一方で、この漁港の海岸の隆起はおよそ25センチにとどまっていたということです。
この漁港よりも能登半島の北側にある輪島市の漁港では、海岸線に最大3.9メートルの隆起が確認されたものの建物などに目立った津波の被害は確認されていないとして、「隆起が小さかった海岸沿いでは津波の被害が出たと予想される」としています。
5社で工場稼働遅延、能登半島地震 参天・アステラス・富山化学・トラストなど【無料公開】
2024/1/6 00:16
能登半島地震で震度5以上の揺れがあった石川県、富山県、福井県に工場を持つ主な製薬企業10社に日刊薬業が5日取材したところ、5社で稼働日が遅れる影響が出ていた。遅れはないものの、正月返上でメンテナンスを行い当初予定していた稼働日の操業に間に合わせた会社もあった。
5社のうち、参天製薬は自社点眼剤の7、8割を生産する主力工場の能登工場(石川県宝達志水町)が被災に遭い、一部建物や設備への被害が確認された。年始休暇で被災時に操業は停止しており、5日から稼働する予定だったが詳細を確認するため遅れが出ている。同社は「稼働日は調査の結果次第で判断する」としており稼働再開は未定となっている。ただ、「点眼剤の在庫が数カ月分あるため供給に支障は出ない」としている。
アステラス製薬も主に免疫抑制剤を製造する富山技術センター(富山市)と抗真菌剤などを製造する高岡工場(富山県高岡市)が5日から操業再開の予定だったが現在も停止している。再開時期は未定で、地震による影響を確認し、復旧作業を進め在庫状況などから優先順位を考慮し再開する予定だ。
同社は「現時点で、医薬品の供給に直ちに影響を与えるような被害は報告されていない」とコメントした。
富士フイルム富山化学の富山第一工場と同第二工場(富山市)について、同社は4日から稼働予定だったが現在も稼働停止の状態で「稼働再開の見込みについて現在確認中」としている。
また旧小林化工の工場を承継したサワイグループホールディングスのトラストファーマテックの3つの工場(福井県あわら市)も一部の建物でひびが入り、棚に置いていた物が落ちるなどの被害があった。
当初4日の稼働を予定していたが、点検のため稼働は来週以降を予定している。
また匿名を条件に取材に応じた富山県内の製薬企業は5日から稼働開始の予定が一週間程度遅れる予定だ。地震の揺れで配管にゆがみが生じ水漏れもあったほか、原薬などを貯蔵する自動倉庫にもズレが生じた。発災直後から正月返上で復旧作業にあたっていたが、自動倉庫などの修理を行う業者が正月休みだったため調整作業が遅れている。
この企業の社員は「地震のあった1日は工員が休みで人的被害が出なかったのは幸いだったが、逆に正月休みで業者を呼べずに苦労している」とため息をついていた。
●富士・辰巳・キョーリンなど5社は予定通り
また受託製造をメインとする第一薬品工業(富山市)は地震の揺れで工場の配管が若干ズレるなどしたが、正月返上で連日一部社員が出勤しメンテナンスなどを行った結果、予定日の4日午後から稼働を開始したという。
ダイト(富山市)は予定通り4日に稼働済みで、富士製薬工業の富山工場(富山市)と辰巳化学の松任第一工場(石川県白山市)は予定通り9日に稼働する。キョーリン製薬グループ工場の井波工場(富山県南砺市)も予定通り来週に稼働する予定だ。(海老沢 岳)
沿岸部の海底85kmが隆起して露出、海岸が最大200m海側にせり出す…国土地理院が解析
2024/01/06 20:07
地盤隆起で海底が露出した石川県珠洲市の津波観測地点(1月2日撮影)=国土地理院提供
能登半島地震で、石川県珠洲市から輪島市、志賀町にかけて、沿岸部の海底が総延長約85キロにわたって隆起して陸地となっていることが、国土地理院の解析でわかった。これに伴い、以前より最大約200メートル、海岸線が海側にせり出していた。また、津波による浸水被害が珠洲市だけで約130ヘクタールに及ぶことも判明した。
国土地理院は、地球観測衛星「だいち2号」が地表に電波を照射して計測したデータを地震の前後で比較。能登半島の広い範囲で地盤が隆起し、半島北側の沿岸部では海底が露出していた。地図上で計測すると、約85キロになる。
輪島市皆月湾周辺では、地表が約4メートル隆起し、地震前に比べて陸地部分が約200メートル分拡大。珠洲市長橋町の漁港では海底が露出し、設置された津波観測計が観測できない状態になった。
国土地理院が撮影した航空写真を日本地理学会のグループが分析したところ、珠洲市から輪島市にかけての沿岸部約50キロの範囲だけで、陸地が約240ヘクタール増加していた。グループの後藤秀昭・広島大准教授(地理学)は「この周辺では地形を変えるような大地震が数千年に数回あったとされ、今回は同様の大きな地震が起きたと考えられる」としている。一方、国土地理院が航空写真で津波による被害状況を分析した結果、珠洲市だけで浸水エリアの面積は約130ヘクタールに上った。エリア内では、広い範囲で家屋の倒壊が確認された。雲がかかって状況が分からない場所などもあり、さらに広がる可能性があるという。
安否不明222人 死者は127人
能登半島地震
2024/1/7 10:24
津波で車や家屋が流され壊滅的になった珠洲市宝立町鵜飼地区=6日午前10時50分(関係機関の許可を得てドローンから撮影)
石川県によると、7日午前10時現在、能登半島地震に巻き込まれた可能性があり、連絡の取れない安否不明者は県内4市3町の222人となっている。
安否不明者の内訳は輪島市106人、珠洲市89人、能登町14人、穴水町9人、七尾市2人、羽咋市、志賀町各1人。
これまでに地震による死亡が確認されたのは127人。輪島市69人、珠洲市39人などとなっている。
県内死者206人
震災関連死8人目、安否不明は52人
2024/1/10 15:12
石川県の10日午後2時までの集計によると、能登半島地震による県内の死者は同日午前から3人増え、206人となった。新たに輪島市で2人、能登町で1人の死亡が確認された。能登町で亡くなった1人について、県は避難生活や環境変化などから体調が悪化して亡くなった「災害関連死」とみられると発表。死因は明らかにしていない。
今回の地震で、県が災害関連死と発表した人は珠洲市の6人、能登町の1人と合わせ8人目となった。
10日午後2時時点で連絡が取れない安否不明者として、52人の氏名などが公表された。10日午前の公表から16人減った。内訳は輪島市41人、珠洲市7人、能登町1人、金沢市1人。
県内死者206人 震災関連死8人目、安否不明は52人|社会|石川のニュース|北國新聞
2次避難所6千人超確保
能登半島地震
2024/1/10 17:32
石川県は10日、能登半島地震の被災者を受け入れる県内外のホテル、旅館などの「2次避難所」が216施設、6207人分確保できたと発表した。同日時点で南加賀などの7カ所に182人が身を寄せている。
2次避難所の内訳は県内が191施設5828人分、県外が25施設379人分となっている。
一方、道路寸断などで孤立状態にある人は10日も輪島、珠洲、能登3市町で3124人に上るほか、6市7町で2万5千人以上が避難所生活を余儀なくされている。県は孤立集落からの輸送者や高齢者、要介護者などから移送を進める。
被災者を一時的に受け入れる「1・5次避難所」となった金沢市のいしかわ総合スポーツセンターには10日、新たに被災者84人が移り、同所の累計は計101人となった。
2次避難所6千人超確保 能登半島地震|社会|石川のニュース|北國新聞
2024/1/10 19:00
七尾市ののとじま臨海公園水族館は10日、前日に死んだジンベエザメのオス「ハチベエ」(体長4・6㍍)に続き、メスの「ハク」(同4・9㍍)も死んだと発表した。地震により水槽内の水位が低下し、環境が悪化したことが要因とみられる。
2頭は2022年9月から飼育され、日本海側最大級の水槽を悠々と泳ぐ姿が人気を集めた。
同館によると、ジンベエザメの水槽は1日の地震で水位が半分以下になり、水温も低下していたという。境谷仁館長は、立て続けの死に「本当に残念でならない」と悔やみ、飼育する他の動物の救命に全力を尽くすとした。
ジンベエザメ「ハク」も死ぬのとじま水族館|社会|石川のニュース|北國新聞
輪島が南西に最大2m移動、1・3m隆起…国土地理院が解析
2024/01/10 13:53
国土地理院は、能登半島地震による地殻変動について全地球測位システム(GPS)などで解析したところ、石川県輪島市が南西に最大約2メートル移動し、約1・3メートル隆起したとする結果を明らかにした。地殻変動が大規模なことから、同院は今後、能登半島で、道路測量や地図作成の基礎となる基準点を再測量する方針だ。
同院は今月2日、同市の別地点で西方向に最大約1・2メートルの変動が観測されたと発表した。その後、7日までに新たに得られたデータを再計算した結果、同市の別地点の変動が最大だったことが判明した。そのほか、同県
同院の地球観測衛星「だいち2号」による解析でも、珠洲市から輪島市、志賀町にかけて、沿岸部の海底が総延長約85キロにわたって隆起して陸地となり、輪島市の地点では約4メートル隆起し、地震前より最大約200メートル海岸線が海にせり出したこともわかっている。
2016年の熊本地震では、水平方向に約1メートル、約20センチ隆起が見られた。同院の担当者は「単純比較で熊本地震の2倍なので、相当な規模の地震活動だったと言える」と指摘。「海岸線などの地形もかなり変化しており、基準点の再測量が必要になるだろう」としている。
【能登地震・同行取材】奥能登に医薬品を、地元卸ファイネスが奮闘 1日7ルート配送で被災地診療支える
2024/1/11 04:30
能登半島地震の発災から1週間以上が経過する中、被害が特に大きかった能登半島北部の奥能登へ医薬品を供給するべく医薬品卸が奮闘を続けている。石川、富山、福井の北陸3県を中心に事業を展開する地元卸のファイネス(本社=金沢市)では、能登半島中央部にある七尾支店を起点に、奥能登2市2町の医療機関や薬局に対して医薬品だけでなく事業継続に必要な水や燃料も配送し、危急の事態にある診療の現場を縁の下で支えようとしている。9日に奥能登2町である穴水町と能登町向けの医薬品配送に記者が同行し、現地入りして見た現状を2回に分けてリポートする。
●被災地支援を阻む道路被害や渋滞
9日午前7時、JR金沢駅近くで同社の車両に乗せてもらい、まずは能登半島中央部にある七尾支店に向かう。今回の震災では能登半島の道路が大きな被害を受けて円滑に通行できないため、迅速な被災地支援を阻む要因になっているというが、実際に道路を通行してみてその実態を理解するまでに長い時間はかからなかった。
まずは渋滞だ。金沢から七尾間の道路には隆起や陥没、ひび割れといった大きな被害はほとんどなく、ほぼ平常通り通行できたものの、自動車専用道路「のと里山海道」に入ってほどなくして車の流れが止まってしまう。
災害支援車両が容易に通行できるよう交通規制がかかっていたものの、一般車両も規制があるインターチェンジ(IC)までは自由に通行できるようになっており、朝から一斉に被災地入りを目指す災害支援車両と一般車両が混じり合って列を組んだまま、たまに停止しながら時速10キロメートル程度に減速してしまった。
周囲を見ると関西の自治体名が入った給水車や東北地方の電気工事会社の車両が並んでおり、全国からさまざまな分野の支援が現地に向かっていることを実感した。規制地点のICを越えた途端に車の流れはスムーズになり、通常1時間程度で到着するところ、出発から2時間余り経過した午前9時ごろにようやく七尾支店に到着した。
●リスク踏まえ2人一組での配送も
七尾支店に勤務する社員は全員が能登半島出身者で、自身も被災者でありながら連日出勤して医薬品の供給を続けているという。ただ、保育園が被災して子どもを預けることができないというような特別な事情を抱える社員は出勤できないため、同社では役員も含めて能登半島の地理に明るい社員を選んで医薬品配送の応援部隊として派遣。平時と違い余震や危険な道路状況といったリスクが高い状況にあることから、通常1人で配送を担当するところ、奥能登は1日7ルートを2人一組でも配送している。
●七尾支店は断水中、援助物資で事業継続
支店内は、電気の供給に支障はないものの、発災後から断水が継続。同社では同じバイタルケーエスケー・ホールディングスグループ内のバイタルネットやケーエスケーから飲料水やトイレ用水、カセットコンロ、インスタント食品などの融通を順次受けており、事業所の機能を維持して事業を継続していく上でこうした援助物資が必須になっているという。
●医薬品だけでなく水や燃料も提供
一方、奥能登では被災した医療機関や薬局に対してただ単に医薬品を届けるだけでなく、水や燃料といった事業継続に必要な物資も車両に搭載し、被災した顧客に提供しているという。同社七尾支店の表直記支店長は、「奥能登で被災した方が七尾に避難してきて、こちらの病院にかかった際の処方箋が飛んでくるようにもなっている。通常は受診していない患者への対応も大変で、本社と連絡しながらなんとか対応している状況だ」と苦境を語る。
●災害対策車両で北上、並大抵ではない配送の努力
七尾からはより道路事情が悪くなるため、バイタルネットから提供してもらった悪路を走行できる特殊車両である災害対策車両に乗り換え、配送先の穴水町や能登町を目指してさらに北上を始めた。
「どの道が正解か分からない」。同行した金俊章取締役・営業副本部長が北上の途上で思わずそうつぶやく。七尾を出てからは徐々に道路に隆起や陥没、地割れが見られるようになり、刻々と変わる道路状況をグーグルのナビ機能で把握しながら、車1台ようやく通れるような抜け道も選んで先を急いだ。
道路の被害が目立ってくるにつれて、復旧工事の現場に遭遇する場面も増えていき、こうした場所は片側1車線しか通行できないのがボトルネックなのか、前後で頻繁に渋滞となっていた。これだけでも大変だが、体にこたえたのが車の揺れだ。道路の隆起を乗り越えるたびにドスンと腹に響く縦揺れが生じ、山道をぐるぐる回る際に特有の横への遠心力と相まって体に負担がかかる。
乗っていた災害対策車両は道路の隆起を見越してか車高が高いために無事全ての箇所を通過できたが、中には雪もあって乗り越えられず、バックした上で助走で加速してようやく乗り越えた隆起もあった。発災直後の烈震か道路事情によるものなのか、乗り捨てられている車両も複数台見られ、穴水町や能登町に到着して医薬品を配り終えるまでには七尾支店の出発からさらに4時間が経過していた。
これから帰路も同じ道をたどるのかと思うと、連日奥能登へ医薬品を届けている配送担当者の努力は並大抵のものではないと悟った。(加藤 祐樹)※次回に続く。